第16話 神様、女神様、サキア様?

「いえ…この子たちが…」

 いきなりサキアにとがめられて、たこ焼き屋さんのお姉さんたちが、

一瞬身体をビクンとこわばらせる。

「しかたがないわねぇ。

 で、おいくら?」

いつの間にか、ボディーガードから財布を渡されている。

すかさずその様子に気が付くと、

「いやぁ、いつもすみません!」

急にパンダの着ぐるみの女の態度が一変して、手をすり合わせる

ようにして、

「すみません…千…いや、2000円で」

ニヤニヤしながら言う。

「えっ?」

そのやり取りを聞いていた裕太が、顔色を変える。

「ちょっとぉ~さっき、1000と言ってなかったぁ?」

まさか、ピンはねか?

何てことだ、と裕太が声を張り上げる。

「それって…ボッタクリだぁ」

ジュンペイも、負けじと騒ぎ立てる。

「ひどい!あんまりだ」

「ボクたち、ドロボー扱いだし」

それにしても、いつの間にか、問題が…すり替わっているような?

「うるさい!」

青い髪の女の子が、裕太たちに向かって、仁王立ちになった。


「ホントに、しょうがないわねぇ」

 だが、そんなことに動じるサキアではない。

むしろコロコロと笑い、無造作に札束を取り出すと

「はい、これ!迷惑料ね!」

代金の上に、さらにお札を上乗せする。

「おぉ!」

一同は思わず、どよめいた。

 パンダの着ぐるみの女は、目を明るく輝かせて、

「さすが、サキア様!

 いつもありがとうございます!」

深々と頭を下げる。

背中を向ける彼女に向かい、

「これに懲りずに、どうかごひいきに!」

すかさず声を張り上げた。


「さぁ、これから…あなたたちは、どうするの?」

 ようやく屋台を離れると、サキアはくるりと振り返る。

「え~と、次はやっぱり、武器がいるのかなぁ?」

あらかじめ偵察をしてきたジュンペイは、酒場で聞き込みを

してきたようだ。

さすがだなぁ~

裕太は舌を巻く。

(やっぱり、この人は…ただ者じゃあないぞ!)

ジュンペイは再び街並みをキョロキョロしながら、

何かを探し始めた。

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