第25話 行く?行かない?まずは作戦会議だ!

「えっ、もう帰ってきたの?」

「まぁな」

 やや眉を吊り上げ、イライラした様子のサキア。

(ね、どうしたんだろ?)

裕太はコソッと、ジュンペイにささやく。

(さぁね、お腹が空いたんだろ?)

のどかな顔で、ジュンペイはキャンディーを袋にしまう。

(おまえと違うだろ?)

(おまえは、どうなんだよ!)

2人が突っつきあっているのを、サキアはつま先で、道路をコンコンと

こづきながら、

「なに、ボソボソ話しているの?

 さっさと片付けて」

何だかイライラしているようなので…

「オバサン、ヒステリーはダメだよ!

 ちりめんじゃこを食べたら?」

ジュンペイが、またも爆弾を落とす。

「なに!」

「ごめんなさい!」

挑発的なジュンペイを、あわててなだめると、裕太は代わりに

頭を下げた。


 そんなサキアのことを、ボディーガードが気が付くと

「どうかされましたか?」と声をかける。

だがサキアはブスッとして、

「なんでもない」

不機嫌そうにつぶやくと、彼の目をごまかすように、

「さぁ、行くぞ」

2人をせかした。

 何か、あったんだ…

裕太とジュンペイは、顔を見合わせる。

「行くって、どこへ?」

裕太がさり気なく聞く。

すると…今さら何を言ってるんだ、という顔になり、

「トオに決まってるだろ?」

きっぱりとそう言いきる。

「あっ、やっぱりそうか」

「おいおい、何を寝ぼけているんだよ」

ジュンペイは、ケラケラと笑う。


 いよいよか…

裕太は目の前にそびえる、あのトオを見上げる。

それにしても、本当に大丈夫なのだろうか?

ふと、裕太は気にかかる。

手元に持っているのは、パチンコと、ロープ。

これだけで、どうやって戦えばいいのだろう?

「ねぇ、ボクたち…どうしたらいいの?」

土壇場になって、不安になる裕太だ。

「なに、怖じ気づいているんだよぉ」

それとは対照的に。、自信満々のジュンペイ…

一体どこから、その自信がくるのだろう?

裕太は呆れたように、ジュンペイを見た。


「まぁ、とにかく、受付をして」

サキアはなぜか、せかすように、2人に向かって言う。

その時キラリ…とサキアの目が妖しく光った。

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