第100話 おもちゃのようなお家!

「ホントだぁ」

 裕太はドアに近付く。

入り口の目につきやすい所に、その風見鶏は、堂々と胸を

張っていた。

それにしても、見たこともない素材だ。

「この辺りの人はみんな、オーパーツという珍しい金属で、

 出来ているのよ」

にこやかに、マリさんは言う。

光りを帯びると、玉虫色に輝く風見鶏に、手に持っている

ライトを当てると…キラキラと光り輝いている。

黒曜石のような、暗い印象ではなく、とても明るい。

「きれい…」

思わずつぶやくと、

「この素材はねぇ、丈夫だし、軽いし、加工もしやすいん

 ですって!

 しかも折れにくいのよ」

自慢気に言う。

「そうよ!私の家も、このオーパーツで出来ているのよ」

ミアが言うと、みんなもうなづいた。

 光りを当てると、光のプリズムを放ち、不思議な色を帯びる。

「この金属はね、とても丈夫だし、火にも強いのよ」

マリさんはじぃっと、その風見鶏を見上げた。


「こんな所で、立ち話もなんだし、中に入りましょ」

マリさんが、不思議な形の鍵を差し込む。

 まるで岩をくり抜いたような、ギリシャの家を思わせるような、

そんなシンプルな形の家だ。

無機質に見えるようだけど、妙に暖かい感じのする家だ。

「靴をはいたまま、どうぞ」

うながされるまま、家に入ると…

センサーなのか、パッと明るくなる。

(この家も、ミナトたちが作ったのかな?)

ふと裕太は思った。

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