第99話 意外と快適?地下の暮らし…

「大丈夫よ、それは」

 ニコッのマリさんが笑う。

「マリさんの家はねぇ、風見鶏が目印よ」

にこやかに、サキアが言う。

「風見鶏?」

ジュンペイが、いきなり声を上げる。

「屋根がないのに?

 風も吹かないのに?」

ケラケラと笑うので、ジュンペイ、笑いすぎだぞ、と

裕太はあわてて

「ちょっとぉ~失礼だぞ!」

ジュンペイを突っつく。

「そうねぇ、変かもねぇ」

だけどもマリさんは、ちっとも怒っている様子はない。

ニッコリと微笑んで、まっすぐに天井を指し示す。

「風はないけど…

 通風孔や換気扇が、いたるところにあるのよ」

指で示した。


 天井部分と、通路のあちこちに、網のついた四角い穴と、

オシャレな扇風機のようなプロペラが取り付けてある。

「へぇ~」

興味津々の目で、裕太が見上げていると

「これ…仲間が作ったんだよ!」

ミナトが得意そうに、裕太に向かって言った。

「この町はね、自分たちの得意なことを、仕事にするのよ。

 手先が器用な人は、衣服を作ったり、生活に役立つ道具を

 作ったり、ロボットを作ったりして、みんなのために働くの」

マリさんが、誇らしげに、みんなの顔を見て言う。

「タケシは、力が強いから…

 ここの自警団をやっているのよね」

ミアが微笑みながら言うと、褒められてまんざらでもない

という顔をして、タケシは照れくさそうに笑った。


「さぁ、着いたわよ」

 マリさんが、ピタリと足を止めると、目の前には確かに、

目印の風見鶏が、ドアの上に掲げられていた。

鉄の支柱のようなもので、固定されている。

「ホントだぁ」

「可愛い!」

一同は、そのオブジェを見上げた。


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