第377話 隠された真実?

 目の前のトオは、モヤがかかっていて、頭に傘をかぶっている

ように、先端が見えない。

「ねぇ、あとどのくらいで着く?」

返事はこない、とわかってはいたけれど、思わず裕太は話しかける。

すると、前を向いたまま、いきなりジュンペイの声が聞こえる。


「ボクさ、シェーラさんにつかまっただろ?」

 何を言い出すんだ、と思うけれども。

「あぁ、それがどうかした?」

裕太は、ジュンペイの背中に話しかける。

「あの時…シェーラさんが、気になることを言っていたんだ」

「気になること?」

「あぁ、そうだ」

ジュンペイはまっすぐ前を向いたまま、声を張り上げる。

そうしないと、裕太にはよく聞えないからだ。

ジェットコースター並みの早さで、勢いよく上っているので、

後ろを振り返ったら、風圧で飛ばされそうだ。

「それって…なに?」

 そういえば…と裕太は思い返す。

裕太たちが助けに行っている間、ずーっとジュンペイは、あの人の側に

いたことになる。

まだ正体も、よく知らなかったわけだし、ジュンペイがおとなしく

している、とはとても考えにくい。

「サキアさんが言うには…シェーラがショーンを捕まえたかった、と

 いうことだけど?」

裕太は、目の前に背中に向かって、声を張り上げる。

(まさか、違うのか?)

ジュンペイが、何が言いたいのか…

裕太はその真意を、図りかねていた。



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