第255話 宝の鍵?

「でも…大きいなぁ」

 想像してたのとは、違う…

裕太は何だか、嫌な予感がする。

「ま、たぶん、そんなことだろうとは、思っていたけどね」

すかさずジャックがそう言うと、

「とにかくまぁ、近付いてみよう」

下に落ちたら大変…と、ツルツルとした台を、おそるおそる

歩いて行く。

見下ろすと、かなりの高さがある。

無傷というわけには、いかないだろう。

カギを見たせいか、俄然ジャックがその気になる。

「それ…もしかしたら、宝の鍵かもしれないぞ!」

さり気なく言うけれど、何だかやる気満々の口調だ。

 慎重に縁につかまるようにして、ゆっくりと目的の鍵に

向かって、近付いて行く。

「だけどさぁ~どう見ても、あれを持って行くのは、ムリ

 なんじゃないの?」

半ばあきらめた口ぶりで、裕太はジャックに向かって言った。


 何しろあれは…自分たちの身長くらいの高さがあるし、持って行く

としたら、引きずるしかないだろう…と思う。

遠慮がちに、ジャックを見ると、彼はまったく、そんなことは

おかまいなしで、スタスタと白い皿に近づいた。

「おっ、でっかいなぁ」

大またで近付くと、やはり裕太の身長くらいの大きさの鍵が、目に

飛び込んでくる。

「やっぱりすごいなぁ」

さすがの裕太も、思わずため息をもらした。

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