第266話 これは、ボクのだ!
「違うよ、見つけたんだってば!」
握りこぶしを震わせて、2人に向かい合わせになる。
「どう違うんだよぉ」
この状況は、どう見たって、ジャックに不利なもの
だった。
一生懸命言い訳をするジャックに、ジュンペイは目を
鋭くさせて、突っ込む。
「いやぁ~」
それでもジャックは、一向に譲る気がなさそうだ。
「もともとこれは…ボクの撒いた豆の木だ!」
キッとジュンペイを、にらみつける。
「だけどここは…トオの1部なんだ」
キッパリとジュンペイが、言いきる。
そうだ…確かにここは、トオなんだ…
すっかり忘れていたけれど、ここは外の世界ではないのだ。
「あの種は、もともとうちの牛と交換したものだ。
だからこの豆の木は、ボクの物なんだ」
思わずうなづいてしまいそうになる。
だがジャックは、まだ言い張っている。
裕太たちが、一瞬ひるむのを見て、いきなり調子づくと、
ジャックはあくまでも強気で主張する。
「このツルは、ボクのものだ。
この家は、ボクの豆の木に建てたものだから…
ボクにだって、入る権利があるはずなんだ」
もともと見つけた金貨の所有権を、争っていたのだが…
ジャックは何が何でも、自分のものにしたいようだ。
少しでも隙を見せたら、持ち逃げしてしまいそうな雰囲気だ。
ジャックとジュンペイは、ハブとマングースのように、
にらみ合っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます