第266話 これは、ボクのだ!

「違うよ、見つけたんだってば!」

 握りこぶしを震わせて、2人に向かい合わせになる。

「どう違うんだよぉ」

 この状況は、どう見たって、ジャックに不利なもの

だった。

一生懸命言い訳をするジャックに、ジュンペイは目を

鋭くさせて、突っ込む。

「いやぁ~」

それでもジャックは、一向に譲る気がなさそうだ。

「もともとこれは…ボクの撒いた豆の木だ!」

キッとジュンペイを、にらみつける。

「だけどここは…トオの1部なんだ」

キッパリとジュンペイが、言いきる。


 そうだ…確かにここは、トオなんだ…

すっかり忘れていたけれど、ここは外の世界ではないのだ。

「あの種は、もともとうちの牛と交換したものだ。

 だからこの豆の木は、ボクの物なんだ」

思わずうなづいてしまいそうになる。

だがジャックは、まだ言い張っている。

裕太たちが、一瞬ひるむのを見て、いきなり調子づくと、

ジャックはあくまでも強気で主張する。

「このツルは、ボクのものだ。

 この家は、ボクの豆の木に建てたものだから…

 ボクにだって、入る権利があるはずなんだ」


 もともと見つけた金貨の所有権を、争っていたのだが…

ジャックは何が何でも、自分のものにしたいようだ。

少しでも隙を見せたら、持ち逃げしてしまいそうな雰囲気だ。

ジャックとジュンペイは、ハブとマングースのように、

にらみ合っていた。

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