第265話 袋の中には…

「ふーん」

 すでにジュンペイは、皮の袋のヒモに手をかけている。

するとチラリと、中身が見えた。

ジャックは思い切り、トゲトゲした声を出す。

「隠してたの?」

「そうなの?」

だがどう考えても、この袋の中に見えている金貨が、ジャックの

物には見えない。

「牛を売ったお金だよ」

「豆と交換した、と言ってたよね?」

まさか…?

裕太はジャックを振り返ると

「おまえ…盗んだのか?」

思わずつぶやいた。

「えっ、これにはわけが…」

「やっぱ、ドロボーじゃん!」

裕太の尻馬に乗って、ジュンペイも

「そうだ、ドロボー!」

大きな声を上げる。

「なんだぁ~じゃあ、巨人のなんだな」

代わる代わる裕太とジュンペイが、言い合うのを聞く。

「おい!何を言ってるんだよ!

 これは、ボクのだ!」

開き直ったジャックが、顏を赤くして叫んだ。


「おっ、すごっ!」

袋を大きく開くと、金色に光るものが、ギッシリと

つまっている。

裕太も横から盗み見る。

「すげぇなぁ~なんだよ、これ」

ジュンペイは先ほどから、顏を紅潮させて、興奮のるつぼだ。

「お、お宝だぁ~」

キラキラ光る金貨に、すっかり目を奪われて、さっきから

ヨダレを垂らしそうなくらい、物欲しそうに見ている。

こんなに大量の金貨は、見たことがない!

「これって、ホンモノ?」

まさか、ニセモノじゃあないよね?

子供銀行とか?

ダミーとか?

一瞬そう思ったけれど…

「おい!」

凄まじい勢いで、ジャックが飛び込んでくると、呆気に取られて

いる2人を尻目に、あっという間に引ったくった。

「あっ」

「おい」

「ちょっとぉ」

手を伸ばす2人に、

「あ~あ!せっかく隠したのにぃ!」

ジャックは、大きくため息をついた。

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