第391話 危ない!

「危ない!」

 裕太の声が響く。

その時ファルコン目掛けて、矢が放たれた。

「逃げて!」

裕太の悲鳴に混じって、ファルコンの低いうなり声が、辺りを

こだまする。

カン!

幸い矢は貫通せず、竜のウロコに跳ね返された。

チッ!

男の舌打ちが響く。

「なんだ、刺さらないんだ」

くやしそうに、吐き捨てるように言う。

「何だと!」

あらためて裕太が、男に飛び掛かろうとすると、

「止めるんだ、裕太!」

ジュンペイが裕太の腕を引っ張った。


 ファルコンの目が…炎の色に染まる。

キィ…ン!

モスキート音のような超音波が、ファルコンの身体から発生する。

「うわぁ~」

側にいた子供たちが、たまらず両手で耳をふさぐ・

ショーンは、体質がやはり特殊なのか、それとも慣れているのか、

まったく動じず、ひるむ男を、すかさず押さえつける。

「放せ!」

男が身をよじる。

けれどもファルコンの目が、さらに朱に染まり、耳をつんざくような、

大きな音に増幅させる。

「ファルコン…やめて!」

巻き込まれた裕太たちが、耳をふぃさいだまま、その場にうずくまる。

さすがのドクターバードも、たまらず抵抗するのをやめた。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る