第441話 さぁ、脱出だ!

「大丈夫だよ!」

 ちゃっかりジュンペイは…いつの間にか、ファルコンの背に

飛び乗っていた。

「無事だったの?」

よかったぁ~

ファルコンの大きな体を見上げて、裕太はホッとため息をつく。

「安心している場合じゃないぞ!

 キミたちも早く…ここから逃げるんだ!」

気が付くと、あの天井のすき間から、上へと突き抜けていた。

裕太はショーンに、抱きかかえられ、宙を舞っている。

「フェニックスは?」

ファルコンに向かって、話しかけると

「アイツは、ここの番人なんだ。

 だから…元にいた場所に戻った」

ファルコンの代わりに、ショーンが答える。

「元いた場所って?」

まさか…あの鳥かごでは、ないよな?

ふいに心配になるけれど…

『大丈夫だ』

ファルコンの声がする。

『アイツは、自分のいた古巣へ戻った』


 それは、どこかは、わからない。

きっと、裕太が聞いても、わからないだろう。

「だから、キミたちも…元にいた世界へ帰るんだ」

空を飛んだまま、ショーンは裕太とジュンペイに向かって言う。

「帰れるの?」

それは、本当?

もう、すっかりあきらめていた、というのに。

「あぁ、そいだ」

ショーンは、キッパリとそう言うと

「しっかり、つかまれよ!」

そうひと言声を張り上げて、いきなりスピードを上げると、

あの山目掛けて、舞い上がった。

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