サキアの休日…14

 あの小生意気な男の子たち…

今のサキアを見たら、きっと

「え~っ!どうしたんですかぁ?

 サキアさんにも、苦手なことがあるんですかぁ?」

大きな声で言うだろう。

そうしたら、きっと、ミスターたちにも知られてしまう。

(それは、困る!絶対に、困る!)

今の地位を作るのに…どれだけの苦労をしてきたことか。

人には、弱みを見せないようにと、散々心を砕いてきた

つもりだ。

マリさんにだって、弱い自分など、見せたくはない。

そして目の前の青年にだって!

(絶対に、絶対に知られたくない)

思わず、苦々しい気持ちになる。

 マリさんは、勘のいい人だから、自分のことも、かなり

分かっているとは思うけれど。

それでも、口が堅い人だと信じている。


 大人になって、ずいぶん自分のことを、演出できるようになった、

と自負している。

それでもふとした瞬間に、見せてしまうことだってあり得る。

 サキアとマリさんの間には、浅からぬ因縁があるのだ。

それはもっとずっと、遠い昔…

まだ、サキアの心にも、夢や希望があった頃の話。

サキアも人並みに、恋をしたのだ。

それは…彼女の人生で、最初で最後の本気の恋だった…


 

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