サキアの休日…15

「ねぇ、サキア~

 あなた、ここを出るって、ホント?」

 サキアの友人が、声をかける。

「うん、そう。

 まだ、マリさんには話してはいないけどね」

 

 サキアの両親は、地下の人たちを支援するボランティアで、

知り合った…と、マリさんに聞いている。

彼女が小さい頃に、この町をトオ…という、この町の観光施設

ではないけれども、人がたえず集まるような場所へと、整えられた

のだ。

貴重な収入源のような、この建物を、ある意味では、巨大な

実験施設として再開発する…ということを、秘密裏で政府のお偉方

が計画していた。

だが、それは…元々ここに住んでいた人たちの立ち退きを、

意味していた。

住み慣れた自分の家や、田畑を奪われてしまう…

それを阻止するために、複数のグループが立ち上がった。

その中の一人が、彼らだったのだ。

 マリさんは、それとは別のグループにいて、たまたま活動するのに

便利だ…ということで、サキアの両親は、この近所に移り住んできた。

それがきっかけとなり、家族ぐるみの付き合いをするようになった

ということだ。

 サキアが生まれた時には、自分の子供のように、可愛がってくれて

いた。

だが両親は、いよいよ本格化する工事に反対して、業者たちと揉めて

いる時に、意図的なのか、偶然巻き込まれたのか…

その真実はやぶの中なのだが、不幸な事件が起きたのだった。


 この施設を、自分たちの研究につなげようと、もくろんでいたドクター

たちに、目をつけられて、闇に葬り去られた…

彼らの間では、まことしやかに、そんな噂が流れた。

 孤児となったサキアの元に、

「ねぇ、私の家に来るかい?」

元々血のつながりも何もない、赤の他人の子供のサキアに、手を差し伸べ

たのは…他でもない、マリさんだったのだ。

 そこで、サキアはミナトたちと出会うことになるのだが、その話はまた

後の話だ…

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