第213話 オバサン、だぁれ?

(なんだ?その声…白々しいなぁ)

 わざと無邪気な声を出すジュンペイを、チラリと見る。

だが巨人の女は、それには気付かないようで、

「そうだけど…今はいないわよ」

今度は素っ気なく答える。

「ねぇ~オバサンって、何者?」

まったく臆することなく、直球でジュンペイが、

そのものズバリを口走る。

(ヤバイよ、ヤバイってば!)

裕太はハラハラしながら、ジュンペイの腕を引っ張る。

ジュンペイはうっとおしそうに、裕太の手を払いのける。

「私?私は…この館の主にやとわれている、家政婦みたいな

 ものかしら?」

2人の突っつき合いには、気付かない様子で、腰をかがめて

返事をする。

「家政婦?」

「家政婦は見た、というあの家政婦?」

「いわゆる住み込みの?」

そう言いかけて…巨人の女の視線を感じると、裕太はあわてて

「えっとぉ~お留守番?」

当たり障りのない言い方に言い換える。

あはは…

お女は笑いながらも、

「いいのよ、気をつかわなくても!」

にぃっと笑う。


「おまえって、ホント、バカだなぁ~」

 また言った!

(ホント、罰金でも取ろうか?)

ジュンペイの言葉に、裕太は思わずイーッとしたくなる。

「あんた、いいこと言うわねぇ。

 そうねぇ~確かに、お留守番だわ」

巨人の女が、にこやかに言う。

よかった!

どうやら、機嫌を損ねていないようだ。

「もしかして、ここの巨人さんって、いないの?

 それって、いつから?」

思わず裕太が口をはさんだ。

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