第11話 愉快なお姉さんに遭遇~
「ねぇねぇ、どこへ行くの?」
相変わらず、跳ねるようにして、先を行くジュンペイを追いかけて、
裕太は後ろから声をかける。
クルリと振り返ると
「ふふふ、ひみつ!」
ジュンペイは、心なしか楽しそうだ。
スキップするジュンペイを追いかける間も、裕太のお腹は、盛大に
グーグー鳴っている。
「ねぇ、ちょっとゆっくり歩いてよ。
ボクはお腹が空いて…死にそうだよぉ」
情けない声を上げる。
「なっさけないなぁ~」
腰に手をあてて、ジュンペイは立ち止まる。
すると裕太の頭に、ある疑念が浮かぶ。
「おまえ、まさか…
さっきのあの人と一緒に、食べたんじゃないだろうなぁ」
恨みがましい目で、ジュンペイをジトッと見る。
「そんなこと、ないよ」
そう言うジュンペイの身体からも…
かすかにソースの匂いが漂うような…?
「ホント、ズルいなぁ。
自分たち、ばっかり!」
裕太はキッとジュンペイをにらむ。
食べ物の恨みは怖いのだ。
「まぁまぁまぁ」
ヒラヒラと手を振ると、ジュンペイは思い切り楽しそうな声で
「そこはねぇ、ちょっと変わったお店なんだ!」
ククク…と、思い出し笑いをする。
「なんだよぉ」
気味が悪いなぁ。
さっぱり訳がわからない。
とにかく早く、食べ物にありつければ、それでいいのだ。
「いいから、いいから!」
まだクスクスち笑って、またもジュンペイは先を急ぐ。
するとようやく、食べ物屋の一画にたどり着いた。
「ねぇ、お客さん…来ないですねぇ」
退屈そうに、パンダの着ぐるみを着た女の子に、もう1人が
気だるそうに話しかける。
下着が見えるのも気にせず、足をバンと投げ出して座っている。
「ちょっとぉ!何をサボッているの?」
パンダの着ぐるみを着た女の子が、ビシッと腰に手を当てると、
ダンと足を踏み鳴らして、先ほどから眠そうにしている仲間に、声をかけた。
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