第323話 夢かうつつか、幻か…
裕太は慎重に、ジュンペイの後を追いかける。
すると突然、ブワッと土が巻き上がり、竜巻のように渦を巻く。
「うわっ!」
「飛ばされるなよ!」
2人はあわてて、柱につかまる。
ビュー!
凄まじい渦が、豆の木を空に巻き上げて行く…
「あっ!」
ジャックは、大丈夫か?
マーサさんは?
目が開けられないくらいの砂嵐が吹き荒れ、目をつむり、
風がおさまるのを、身体を縮めて待っていると…
何かの気配を感じた。
「えっ、なに?」
ようやく静かになると…裕太がおもむろに立ち上がる。
白い砂煙の立ち上る中、先ほどチラリと見えた古い教会が、
すぐ近くに現れた。
「えっ?」
いつの間に?
もう少し先の方にある、と思っていたのだが、三角屋根の上には
確かに十字架が立っている。
「教会だ!」
まさか、建物もろとも、吹き飛ばされてきたのか?
ジュンペイはピョンと跳ねると、再びダッシュで駆け出して行く。
「ちょっとぉ、大丈夫かぁ?」
もしかして、巨人の館のように、何か仕掛けがある、とか、
何者かがひそんでいるかもしれないぞ?
裕太はそう思うのだが。
ジュンペイは、一向に気にしている様子はなく、
「何を心配しているんだよぉ。
大丈夫だよ」
嬉しそうに、ひと声叫ぶと、教会の門をくぐり抜けた。
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