サキアの休日…21

「えっ、なに?」

 ミナトの視線を振り切るように、サキアはマリさんの方を

向く。

「マリさんの所に、よくキヨラが遊びに来てたよね!」

昔を思い出して、はずむような口調で言うと

「あぁ、そういえばそうね!

 あなたたち…子供の頃は、よく遊んでいたわねぇ」

マリさんも、懐かしそうに微笑んだ。


 マリさんの家から、街の学校へ通うようになると、よく一緒に

なったのが、あの地下の神社の巫女であり、龍神様につかえている

キヨラさんだ。

「あの子…近所に住んでいたんだっけ?」

彼女が神社にこもるようになってから、サキアは会ってはいない。

遠い昔の思い出だ。

「どうだったかしら…」

キヨラの両親も、若くに亡くなり…

かつての家は、もう誰もいない。

 マリさんが思い出すように、目を細めると、

「あぁ~キヨラは、ボクの近所に住んでいたよ」

ミナトが口を挟んだ。

「そうだったかしら?」

案外、忘れていることも、たくさんあるわねぇ~

「ボケたのかしら?」

クスクスと、マリさんが笑う。

「学校の行き帰り、よく一緒だっただろ?

 ボディーガード気取りでさぁ」

ミナトが、力こぶを作ってみせると、

「違うわよぉ~

 ボディーガードをしてたの、私でしょ?」

ミナトは、ヘタレだったじゃないの~

サキアが笑う。

「そっかぁ~サキアは、あの頃から強かったのね」

マリさんが、クスクス笑う。

 ふん、おてんば!

ミナトが小さくつぶやく。

「何よぉ~泣きついてきたのは、どっちよぉ」

サキアはぐいと、ミナトに顔を近づけた。

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