第134話 ここはどこ?

「はぁっ?」

 一体、どういうことなんだ?

 地下がトオの1部だって?

 つながっている?

 なんで?

裕太とジュンペイは言葉を失い、しばらく呆然とした。

無理もない。

なぜならば、地下は真っ暗闇で、おおよそあの町の

にぎわいは、どこにもないからだ。

だが、離れてはいるものの…

確かにここからは、トオの姿がしっかりと目に入る。


「ここは、なんですか?」

 地下でもない。

 トオでもない。

 地上?

だけど…ここにあるのは、静けさだけだ。

じぃっと外を眺めている裕太に、キヨラさんはニコニコしながら

見守っている。

「ここ?

 ここはねぇ~窓みたいなもの?

 ここから外を見たりしているのよ」

遠い目をして、外を見ている。

手を伸ばせば、届きそうなのに、あまりにも、遠い…


 キヨラさんの目は、何を見ているのだろう?

ここから外を見ていた、ということなのか?

確かにぽっかりと…窓のように、外の景色が見えている。

息抜きのためなのだろうか?

日光浴をするのも、いいのかもしれない。

 裕太は意外な気持ちで、眺めていると…

「実はねぇ、ここ、とてもよく見えるのよ」

にこやかに微笑みながら、そう言う。

「見えるって、何が?」

月?

星?

それとも、何か別のもの?

裕太はまだ、ピンとはこない。

「いいから、来て!」

そう言われて、戸惑いつつも、裕太も同じように並んで、

外を眺めた。


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