サキアの休日…39
月明かりに照らされて…姿を見せたのは、竜でも、トカゲでも、
異形の子供でもなく…
まるで色素がないのではないか、というくらい、透き通る肌をした、
燃えるような紅い瞳の女の子だった。
「私たち…いっぺんに、魅了されたのよ。
なんて、きれいな女の子だろう…って!
今まで…そういう子たちは、いたみたいだけど、いつもどこかに
隠されていて、私達の目に入ることは、なかったからねぇ」
初めて『竜の申し子』であるキヨラさんに、会ったことを思い
出すと、懐かしそうにサキアは微笑む。
「私も、おんなじよ」
キヨラはそう言う。
「生まれた時から、ずーっと外の世界を知らなかったの。
だから、同い年の子なんて…お遣いの人たちを通してしか、会う
ことはなかったし、まさかあなたたちみたいに、禁を犯して、
近付いて来る子たちなんて、今まで誰もいなかったから…
一体何があったのか、わからなかったのよ」
うっすらと微笑む。
「まぁ、そうよねぇ」
思えば私たち、ムチャをしたのね…と、サキアは苦笑いを浮かべた。
「ミナトがなんで?」
どうも、キヨラも気になるようだ。
「うん…竜のお姫様を見に行こう…って、言われたのよ」
その当時のサキアたちは、とにかく大人たちの裏をかくのが、
たのしかった。
だから…近付くな、と言われたら、逆に近付いてやろう…と、
天邪鬼な気持ちが芽生えた…といっても、過言ではないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます