サキアの休日…38

 あの日のことは、なぜかよく覚えている。

呪術の稽古に疲れて…ひと休みをしていた時に

「あそこに、ボクたちと同い年の子がいるんだって!」

いきなりミナトが、そう言い出したのだ。

どこで、そんなことを知ったのか…

ミナトはハッキリとは、教えてくれなかった。

そう、サキアは記憶している。

「いいから、こっちへ来て」

強引に彼に腕を引っ張られ、何が何だかわからぬままに、

連れて来られたのが、ここ…だった。


「竜の申し子がいるって言うから、どれだけ気味の悪い子

 がいるのか、と思っていたら…」

 サキアは懐かしそうに微笑んで、キヨラに目をやる。

「全然 普通の子だから、とっても安心したのよ!」

もしもあの時、強そうな男の子だったら、どうしていただろう?

サキアは、ふと思う。

(まぁ、私に勝てる子はいないから、それはそれで、こてんぱんに

 のしていたのかも?)

だがそこに立ち尽くしていたのは…

不思議な瞳を持つ、透けるように白い肌の女の子だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る