サキアの休日…37
「あの日も…私は一人だった」
キヨラは遠い目をして、天井の割れ目を見あげている。
キラリ…と星がまたたいているのが見える。
「あの時、突然今夜みたいに…
あなたたちが、現れたのよね」
「そうだったかなぁ?」
二人はボンヤリと、天井を見上げる。
サキアはキヨラの隣に、腰を下ろすと…
同じように、泉に足を浸した。
ヒンヤリとして、心地よい涼しさが、足指から伝わってくる。
「あら、気持ちがいいわねぇ」
思わずひと言もらすと、
「でしょ?」
キヨラは、にっこりと微笑む。
サキアは、ミナトの姿を目で探す。
だが…まだ、姿は見えないようだ。
「あの時ねぇ~ミナトが、言い出したのよ」
いたずらっぽい目付きで、キヨラに向かってそう言う。
「なにが?」
やはり、キヨラは何も知らないようだ。
なので、サキアは大きく深呼吸をして、思い切って話し出す。
「あそこに…私達と同い年の子がいるんだって、ここへ連れて
来たのは…ミナトだったのよ」
初めて、あの日のことを口にした。
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