第373話 次へ!

 だがジュンペイだけは、いつもの調子でニヤニヤしながら

話しかける。

さっきまで、鳥かごに閉じ込められた人とは思えない。

きっと、ストレスが溜まっていたのだろう。

「ねぇ、早く行こうよ!」

裕太の腕を引っ張って、せかしている。

「えっ?ちょっと、待ってよぉ」

裕太はジュンペイの手をはがすと、ショーンの様子をうかがう。

「ね、本当に行くの?」

これは、ショーンの気持ち次第だ…と思う。

 ショーンはしばらく、じぃっと上を見上げていたけれど…

間もなくして、裕太に視線を戻すと

「そりゃあ~行くしか、ないよなぁ」

あ~あ、とため息のように言う。

「本当は、君たちを、危険な真似にあわせるわけにはいかないんだけど」

まだ…未来ある、若者だしなぁ~

何だか、マトモなことを口にする。

やはりシェーラのことで、懲りているのだろう。

「ごめんな」

なぜか、二人に向かって謝る。


 なんで?

だけどジュンペイは、何を言っているんだ?とキョトンとしている。

「そんなの、平気さ!」

ぐっと親指を突き出した。

「仕方がないなぁ」

ハハッと困ったように、ショーンは笑う。

「キミももうちょっと、頑張ってくれよ」

ショーンは、ファルコンの鼻づらを優しく撫でると、

心なしかファルコンは、気持ちよさそうに、目を細めた。





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