第115話 地下の迷路をたどれ!

 この地下街は、思いの外整備されていて、岩をくり抜いて

作った通路が、縦横無尽に走っている。

(まるでアリの巣のようだ)

裕太はふと思う。

「ここは、初めての人が来たら、迷路のように複雑だ…

 と言って、まず1人で出るのが難しいみたいよ」

同じようについて来たマリさんが、さらりと言う。

「もともとネズミ捕りのように、ボクたちをつぶそうとする

 輩が、入り込まないようにと、考えたものなんだ」

先頭を歩くミナトが、裕太たちを振り向いて言った。


 確かにそうかもしれないなぁ~

それには裕太も、うなづかざるを得ない。

何しろ地下の通路は、どこも同じような感じで、目立つ目印が

見当たらない。

特殊な塗料で、各々がつけた模様があるだけだ。

(しかもそれは、ミナトたちの持つ特殊なライトでないと、

 見えない仕組みになっている)

こんな所で、みんなよく、生活できるなぁ~

やっぱり、自分たちにはムリだ…

そう、裕太はあらためて思う。

 それでもなお…(もしかしたら)という思いもあった。

「ここに詳しい人がいるから、その人に聞いてみよう」

そうひと声かけると、ミナトはズンズンと前を進んで行く。

「詳しい人?」

そんな人が、本当にいるのか?

ようやく、裕太は気を取り直して、おとなしくついて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る