第114話 もぐらのような地下の暮らし
「ねぇ、地下の人って、外には出ないの?」
ふいに裕太が気になる。
「そりゃあ、たまには出るさ」
お日様が、恋しくなる時もあるし、
外の風に吹かれたくもなる…
ミナトはトンと、1段高い位置にある岩に、足を乗せる。
「買い物に行ったり、用事があったりしたら、地上に
出るよ」
そんなの、当たり前だろ?とミナトはにっこりとする。
「なんだ!出たらダメなのかと思ったよぉ」
「指名手配犯か!」
ケラケラと笑うと、ピョンとジュンペイが跳ねて、ミナトを見た。
「でも…外に出たら、眼が慣れるまで、大変だろうなぁ~」
急に思いついたように、裕太が言う。
「そこかよ!」
バカだなぁ~
ジュンペイが笑う。
「だって、そうだろう?
暗いトコから、外に出たら…
まぶしくって、眼があけていられないもん!」
バカにされた…と思ったのか、裕太は鼻を膨らませて言う。
「そうねぇ~確かに、そうだなぁ」
マリさんが感心したように、
「あなた、よく気が付くわねぇ」と微笑む。
「そりゃあ、ずーっともぐってなんかいないわよ。
たまには、外に出るわよ!
ここで手に入らないものもあるし」
もっとも、さいさい出たりはしないけどね、とマリさんは裕太に
向かって、声をかけた。
「とにかく、ついて来て」と言われ、
(どこへ連れて行くの?)
幾分気になるものの…
おとなしく、ミナトたちの後ろについて、歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます