第114話 もぐらのような地下の暮らし

「ねぇ、地下の人って、外には出ないの?」

 ふいに裕太が気になる。

「そりゃあ、たまには出るさ」

お日様が、恋しくなる時もあるし、

外の風に吹かれたくもなる…

ミナトはトンと、1段高い位置にある岩に、足を乗せる。

「買い物に行ったり、用事があったりしたら、地上に

 出るよ」

そんなの、当たり前だろ?とミナトはにっこりとする。

「なんだ!出たらダメなのかと思ったよぉ」

「指名手配犯か!」

ケラケラと笑うと、ピョンとジュンペイが跳ねて、ミナトを見た。

「でも…外に出たら、眼が慣れるまで、大変だろうなぁ~」

急に思いついたように、裕太が言う。

「そこかよ!」

バカだなぁ~

ジュンペイが笑う。

「だって、そうだろう?

 暗いトコから、外に出たら…

 まぶしくって、眼があけていられないもん!」

バカにされた…と思ったのか、裕太は鼻を膨らませて言う。

「そうねぇ~確かに、そうだなぁ」

マリさんが感心したように、

「あなた、よく気が付くわねぇ」と微笑む。

「そりゃあ、ずーっともぐってなんかいないわよ。

 たまには、外に出るわよ!

 ここで手に入らないものもあるし」

もっとも、さいさい出たりはしないけどね、とマリさんは裕太に

向かって、声をかけた。

「とにかく、ついて来て」と言われ、

(どこへ連れて行くの?)

幾分気になるものの…

おとなしく、ミナトたちの後ろについて、歩き出した。

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