第2話 ここは天国か?

 もう、ダメだ!

 南無三…

裕太はグッと目をつむった。

そのまま、何かに飲み込まれた…

と、思っていたら、意識を失った。


 しばらくすると、明るい光に包まれた…と思った。

(ここは、どこだ?

 そうか、自分は…あのまま波に飲まれたんだ…)

裕太は観念した。

残念だ、と思うけれども。

まぁ、それでもいいかぁ~本望だ…と、すぐにあきらめた。

 母さんは、悲しむかなぁ~

 じいちゃんは、どうしているのだろう?

 せめて…颯太にもう1度、会いたかったなぁ~

そう思っていたら、あれ、何か変だぞ、と思う。


 光を感じる。

誰か、いる?

もしかして…どこか知らない海岸にでも、流されたのか?

(外国だったら、どうしよう?)

ザワザワと、人の声がする。

 ここは、どこだ?

 まさか…天国じゃあないよな?

(それなら、地獄?)

目を開けるのが、怖い…


「もういいわよ、目をあけて」

ためらう裕太に、クスクスと笑う声がした。

少し癖のある声だ。

やや甘くて、かすれた女の人の声…

(だれ?)

裕太はこわごわと、目を開けた。


 だが、ここは…

自分の住む島でもなければ、知っているところでもない。

むしろ…

(ここは、どこだ?)

どこか奇妙な雰囲気のする場所だ。

かがみ込み、裕太をのぞき込んでいる女の人の姿が見えた。

「あの…」

おそるおそる顔を動かす。

浜辺は、どこだ?

目で探す…

目の前には、黒い大きな帽子をかぶった、見たこともない

女の人がいた。

「あのぉ~ボク…」

オズオズと声を出すと

「あっ、あなたのお友達ね、さっき目を覚ましたわよ」

にぃっと真っ赤な唇を、横に開いた。

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