サキアの休日…49

「はっ?」

 一瞬、サキアは自分の目を疑った。

実直が服を着て歩いているような…真面目一辺倒なボディーガードが、

いきなり思いもかけないことを、言い出したのだ。

「ミスター、何をふざけたことを、言ってるの?」

そうだ、自分はからかわれたのだ…

そう彼女は、思ったのだ。

「ナマ言ってんじゃあないわよお。

 この私に、告白なんて…10年早いわ!」

先ほどまでの、シリアスモードが一転し、いつものサキアに戻る。

「そ、そこまで、言わなくても…」

彼はそう言いながらも、どこか嬉しそうだ。

 ようやく自分のボスが、元に戻った…と、ホッとしたのだ。

「そうねぇ~あなたが、一人前の男になったら、考えてあげてもいいわ」


 ガサガサ…

背後で音がする。

「それにしても…あんた、いい男ねぇ」

 のそりと、雪の女王のような女が現われる。

「あっ、シェーラ!」

 クルリとサキアが振り返ると、首に巻いているチョーカーに、手を触れる。

「シェーラ!このバカ犬!

 あんた、なに、チョッカイ出しているのよぉ」

確か、どこかへ連れて行かれたはずのシェーラが、脱走してきたのだろう。

またも、サキアにそっくりな姿で、シルバーヘアに変身し、妖艶な笑みを、

ミスターに向ける。

「だって、こんないい男!

 中々いないわよ!

 いらないのなら、私がもらっても「いいでしょ」

飼い主である、サキアに向かって、媚びを含んだ目で見つめる。


「あの、パーティーをしないなら、せっかくだから、どこかへ…行きますか?」

 忠実なボディーガードは、気を利かせて、サキアにそう提案する。

「そうねぇ~海へ行こうかしら?」

そういえば、最近、山ばかり見ている。

珍しくサキアも、その気になってくる。

「じゃあ、準備をします」

あわただしく、背を向けるミスターに、

「あ~!私も、行こうかしら!」

怒られたはずのシェーラが、まだ懲りずに、甘えた口調で、ミスターに向かって

声をかける。

「だめよ!あんたはね、お留守番よ!」

すぐさまサキアが、シェーラのチョーカーを引っ張る。

「もう、ケチ!」

ワン!

シェーラが珍しく、犬のふりをした。



   おしまい…


ありがとうございました。

明日からは、新しいお話を始める予定です…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

難攻不落のあの頂を目指せ! daisysacky @daisysacky

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ