第425話 初めまして、私の半身

 だがショーンは、鳥かごに張り付いたまま、何も言葉を発しない。

(一体、どうしたというんだ?)

今日はやけに、調子が狂う。

やっぱり、ここに来てはいけなかったのではないか。

今さらのように、裕太がそう思っていると、格子越しに手を差し伸べて

いたショーンが、じぃっとフェニックスの瞳を見つめる。

「はじめまして…私の、半身…」

愛おし気に、話しかけている。

(ショーン、大丈夫なのか?)

今度はショーンのことが、心配になってきた。


(だけど、どういうこと?)

 ショーンの言葉を、裕太は思い起こす。

双子ではないとしたら、なに?

ドクターバードの最高傑作、ということは?

考えているうちに、裕太は近付き過ぎたのだろう。

いきなりシャー!とフェニックスに威嚇される。

「あんまり近付かない方がいい。

 フェニックスは今…気が立っているんだ」

さらりとドクロがそう言うと、再び鳥かごに布をかぶせようとする。

だが裕太は、それをさえぎる。

「ねぇ、ショーンの片割れって、なに?

 半身…ということは、ショーンの一部なの?」

裕太の素朴な疑問に、ガイコツの手が、ピタリと止まる。

「おまえ、それ…知りたいのか?」

なぜかガイコツは、不気味な笑い声を立てる。

「教えてあげてもいいが…

 タダで、とはいかないなぁ」

嬉しそうに、ヒッヒッヒッと笑った。

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