第451話 この先、注意!

 黙々と一同は、洞窟を進む。

ショーンの目が、ライトになって、辺りを照らす。

どこへ行くのか、教えられないまま、ただ置いて行かれないよう

にと、裕太はしっかりと、ショーンの側を歩いている。

こうしていると…何だか、トオの世界が遠去かっているような、

段々と現実に戻っていくような、そんな感覚を覚える。

その代わり、一歩進むごとに、自分の家に近付いて行くような

気がして…

嬉しいような、残念なような、複雑な気分だ。

 さっきまで、かすかに聞こえていた水のような音が…

どんどん進んでいくうちに、大きくなっていく。

(一体、この中って、どうなっているんだ?)

何だか不思議な気持ちだ。


 奥に進むたびに、さらに音が大きくなり、ドウドウと流れているようだ。

「源泉?泉?湧き水?」

洞窟の壁に耳をあてて、どこから聞こえてくるのだろう…と、裕太は

確かめる。

まだ、水自体は見えてはいない。

「この近くなのかなぁ?」

視覚的には、一切見えていないのに、水音だけが段々と強く、激しさを

増している。

(あれ?)

 これって、どういうことだ?

 この感覚は…もしかして?

前にも感じたような気がして、裕太はひどく気になっていた。


「この先は、滝になっているから、気をつけるんだぞ」

 ショーンの声が聞こえる。

「滝?」

そういえば…地下にも、湧き水のしみ出た場所があった…

ようやく裕太は、思い出していた。

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