難攻不落のあの頂を目指せ！

サキアの休日…４

「ねぇ、それよりも…お疲れ様会をしない？」

　サキアは急に、ラフな口調で話しかける。

「お疲れ会ですか？

　何のお疲れ様会なんですか？」

ミスターは、真面目な顔つきで聞き返す。

「バカねぇ～

　あの子たちを、無事に送り届けた、お疲れ様よぉ～」

サキアはケラケラと笑う。

それでなくとも、このところ…気の張りつめることが、多かった

ような気がする。

そろそろガス抜きをしたい…と思ったのは、事実だ。

「そうですか？」

何か、企んではいやしないか？

探るような目付きで、ミスターはサキアを見る。

けれども、まっすぐに見返す瞳には、偽りが隠れてはいない…

と、見て取る。

「わかりました。

　それじゃあ、いつにしますか？」

思いの外、あっさりとうなづく。

サキアは嬉しそうに、背伸びをすると…

「そうねぇ～マリさんとか、地下の連中を呼んで、パァ～ッと

　やりましょ？

　もちろん、ミスター、あなたもね」

　いつもはクールなサキアも、この時ばかりは、かなり親し気に

話しかけてくる。

ボディーガードは、戸惑っていた。

「いいのですか？」

　自分など、頭数には入ってはいない、と思っていたので…

雇い主と、その親しい仲間たちの中に、従業員である自分が、

果たして混ざってもいいのだろうか？

彼はサキアの真意を、図りかねていた。

　急に難しい顔をする彼を見て、サキアはケラケラと笑うと

「大丈夫よ！

　そんな大げさなものではなくて、お疲れ様会なんだから！」

　　自分の計画を、何とか押し進めようと、少し強引に言いくるめ

ようとする。

「だけど、ボクは、ちょっと」

サキアからの業務命令ならば、聞くのだが…

さらには、そういうにぎやかしいものも、本当は苦手だ…

みるみる眉間にシワを寄せるので、

「何よぉ～つまんないわねぇ」

サキアは、子供のように、頬を膨らませる。

　彼が酔いつぶれたり、陽気に騒いでいるところが、見てみたい…

そう思っていたサキアは、

「何よ、つまんない男！」

八つ当たりのように、声を上げた。