第273話 オープン!

(すぐ近くに、鍵穴があればな!)

 だが、この高さだ…

 どうやって、開けよう?

裕太はひそかに、高さを確かめる。

だけど…ジャックの持っていた、あの鍵だと小さすぎるのだろうか?

すぐに上を見上げて、鍵穴に手が届くか、試してみる。

つま先立ちをしてみても、かなり厳しい…

「ねぇ、ちょっと、背中を貸して」

ジュンペイに頼むと、すぐさま鍵穴の側までよじ登る。

「ボクたち…巨人じゃないからなぁ~

 体が小さいと、けっこう不便なんだなぁ」

さすがに裕太も、痛感した。

ポケットの中の、サキアさんから貰った鍵を、手の中で握り締める。


「あれ?」

 手で触る感じで…以前見た時と、鍵の形状が違うような気がする。

それって、一体どういう事なんだ?

前よりも、一回り大きくて、ズシリと重たい。

裕太はそれを、両手で持ち上げる。

「えいっ!」と鍵穴にあてた。

 キィ~

自動ドアのように、扉がきしむ音をたてて開く。

「ねぇ、この部屋で合ってる?」

一応ジュンペイに、確かめる。

彼はトンと足を踏み入れると、中を確かめる。

首を突っ込むと、

「そうだな」

ジュンペイは大きくうなづく。

「そう」

確か、暖炉の中には、秘密の通路がある…と言っていた。

(ホントかなぁ?)

どうやって知ったんだ?

見た…と言ってたけれど?

さすがに、裕太はためらう。

(もしも、その暖炉に火をくべられたら、自分たちは丸焼けに

 なってしまうのでは?)

今ひとつ、信じきれないのだった。

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