第274話 家探し中

 いくら巨人の家で、サイズがスーパービッグだとしても…

知らない家の中を、家探しするのは、さすがにためらわれる。

さらには、端から端まで行くだけでも、結構な距離がある。

体育館くらいの広さか?

やはり何度見ても、迫力のある部屋だ。

いかにも高級そうなカーペット。

高価そうな家具。

もしも泥棒が、この近くにいたら、大喜びをして、探し回るのに

違いない。

(ずいぶん派手な趣味の巨人だなぁ)

だがジュンペイは、そんなことなど、まったくお構いなしで、

スタスタと部屋の奥へと向かう。

裕太は何だか(もったいないなぁ~)と、心残りではあるけれど…

それでも、ジュンペイの後を追いかける。


 きらびやかな置き物がズラリと並べてある、棚の前を通り過ぎると、

部屋の奥に、目指す暖炉が見えて来た。

「ここって…書斎?」

思わずジュンペイに、声をかける。

「ふ~ん?」

ピタリと足を止める。

「やっぱり、そうなのかぁ?」

クルリと一回転すると、再びピョンと跳ねて、タタタタタタ…

レンガ造りの暖炉目掛けて、ジュンペイは走り出す。

(ちょっとぉ)

裕太は呆気にとられる。

「アイツ…何も感じないのかなぁ?」

こんなすごい部屋なのに?

ジュンペイの好きな、きらびやかな物が、たんとあるのに?

 裕太はいきなり、ドッと疲れが出る。

足がもつれそうになるくらい、フラフラとしながら、ジュンペイの

後ろ姿を追いかけていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る