第275話 小人になったボクたち?

 壁ぎわには、天井に届きそうなくらい大きな書棚がある。

そこには、読み切れないくらいの本が、ギッシリと詰まっている。

しかも1つ1つの本が、百科事典のように、とにかく大きい!

(それでも、巨人には小さいのだろうけれど…)

だが、それだけでも十分に圧巻だ。

まるで不思議な国のアリスみたいだ!

呆気に取られて、首が痛くなるくらい、上を見上げる。


「何をしてるんだろ、早く来いよぉ」

 ジュンペイが、大きな声を張り上げる。

机も椅子もシンプルだけれど、かなり使い込まれているのか、

飴色にテラテラと光っている。

(この巨人…結構こだわりがあるのかなぁ)

裕太はまだ見ぬ巨人のことを、感心していた。

「すごい!さすが巨人だなぁ~すごく大きい!」

 ジュンペイは嬉しそうに、椅子の足によじ登ろうと取り付く。

よいしょ、よいしょと声を上げて、座面によじ登ると、自慢気に

裕太を見下ろす。

「おい!そんなことをしに、ここへ来たんじゃあないだろ?

 暖炉へ行かないのか?」

行こうと言い出したのは、ジュンペイだ。

裕太はイライラとした口調で、ジュンペイに聞く。

 何で自分ばかり、のんきに遊ぶんだ?

イラつきながら、ジュンペイをジロリと見る。

「まぁ、そう固いことを、言うなよぉ」

ヘラヘラと笑いながら、ジュンペイはさらに、机の上によじ登ろうと

手を伸ばす。

「ちょっと、いい加減にしろよ!」

ボクはもう、おりるぞ!

だが、暖炉の秘密の通路に関して知っているのは、ジュンペイなのだ。

「何しに、ここへ来たんだ?」

にらみつけながら、ジュンペイに聞く。

「へっ?」

今さら、何を言ってるんだ?

ジュンペイはキョトンとする。

「何しにって…」

裕太の顔をチラリと見ると

「暇つぶしだよ」

ケラケラと笑った。

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