第40話 あきらめないぞ!がんばる子供たち…

「そうなのか?」

 ジュンペイは、男たちの話を忘れたのか…裕太の言葉に、

キョトンとする。

2人きりなので、誰かに聞かれることもないが、聞くことも出来ない。

推測するしか、手立てがないのだ。

 サキアさんがからむ…ということは、何かあるのか?

「ボクたち…どうなっちゃうんだろう?」

怒ったように、ジュンペイが言うと

「さぁねぇ、ただ…しばらくここから、出してもらえそうにないなぁ」

 裕太は冷静に、この状況を打破する方法が、他にはないか…と、

辺りを見回した。


 まずは、灯りだ!

光りがないか…と、裕太は辺りを見回す。

せめてこの部屋が、どんなとこにあるのか、どのくらいの広さか…

それくらいは、把握したいと思う。

(地下なのか、地上なのか、人の気配があるか、近くに部屋があるか…など)

ソワソワする裕太を見ると、

「どうしたんだ?」

ジュンペイが聞く。

「何か、灯りになるようなものは、ないかなぁ」

火打ち石があれば、上等だ。

わずかにジュンペイに、期待した。

「うーん、それがさぁ…リュックがないから、何もないなぁ」

残念そうに言う。

「確かにそうだなぁ」

何しろ突然拉致されたので、何も持ってくることは出来なかった。

 リュックサックの中には、懐中電灯と花火、パチンコにロープなどが、

入っている…

それにちょっとした食べ物が、入ったはずだ。


「あぁ~」

 悔しそうに、ジュンペイが壁をこぶしで殴りつける。

「チョコレートにクラッカー、ポテトスナックも入ってたよなぁ」

なくしたものは、今後かなり役に立ちそうなものばかりだ…

折り畳みナイフだって、あったはず。

「何とか、脱出する方法、考えないとな!」

腹が減ったジュンペイが、強く裕太に言う。

「こんな所で、野垂れ死にだけは、ごめんだ!」

急に決意するのだった。

 

 そうだ!

何とかして、逃げなくては!

すっかりあきらめかけていた裕太にも、ようやく力がよみがえってきた。

「たしかに!

 まずは、灯りと食料だな!」

ジュンペイのモチベーションを上げるためにも、絶対にはずせない。

うん、とつぶやくと、大きくうなづいた。

「残念だなぁ~

 せっかくルームサービスが来る…と、思っていたのにぃ」

またもジュンペイが、つぶやく。

「あれ…どうなったんだろ?」

まだ未練がましそうにする。

「ミスターが、食べたんじゃないの?」

さらりと裕太は言う。

「え~っ、ズルイよ!そんなのイヤだ!」

このドタバタで、すっかり忘れていたけれど…

「腹が減ったなぁ」

ジュンペイは、お腹をさすった。

「しかたないだろ?

 ここへ来ちゃったんだから」

そう言いかけて…あっ、と裕太は思い出す。

「ミスターだよ!

 ミスターがきっと、探しに来てくれるよ」

力強く、裕太はジュンペイを見つめた。

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