第443話 ヤバい!

 このままだと…うっすらと白く煙が見える、目の前の噴火口へ、

真っ逆さまだ!

「ショーン」

不安になり、裕太が声をかけると

「大丈夫だ」

しっかりとした声が、返ってくる。

「いいか?しっかりとつかまるんだ」

その言葉を合図に、ぱっくりと口をあけるその穴に…

まっすぐに、突っ込んで行く。

「うわぁ~」

先を進むジュンペイの叫び声が、聞こえる。

「えっ」

さすがの裕太も引きつる。


「ねぇ、本当に、大丈夫なの?」

 それもそうだ。

これがジェットコースターならまだしも…命綱も何もない、

リアルな噴火口目掛けて、直滑降に落ちて行くからだ。

(へぇ~ジュンペイも、こういうのに弱いんだなぁ)

そう思うのもつかの間、突然 裕太の内臓をギュンと絞めつけられる

ような…激しいGを感じる。

あの山のてっぺんは、こうなっているんだ~

普段ならば、そんなのん気なことを、思うのだろうけれど…

「うわぁ~」

 まさか、墜落?

 激突するのか?

さすがに裕太も、こらえきれなくなり、絶叫した。

飛行機の宙返りって…こんな感じなのだろうか?

などと…一瞬思ったけれども。

ドンドン目の前に迫って来る、山の頂上を目の当たりにして、

恐怖感が先に立った。

ビュンビュン

ビュンビュン

風が肌を突き刺すようだ。

木の枝や、尖った葉が、目に突き刺さりそうな気がする。

ぐっと目をつむり、ひたすらその瞬間が、何事もなく過ぎるように…

と、裕太はショーンに身をまかせた。

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