第403話 か、顏が…

 まるで着ぐるみを脱ぎ捨てるように…

さらにオバサンの身体が、頭の先から足の先まで、ハラリ…と

下にずり落ちた。

「えっ!」

「なに?」

なんなんだ?

「うぇ~っ!」

裕太もジュンペイに負けないくらい、奇声を発する。

「えっ、特殊メイク?」

「いや、違うだろ?」

映画のセットでもないのに、こんなの…今まで目の当りにした

ことがない。

さすがに泡を食って、オタオタする二人を見ると、オバサンは

とても気持ちがよさそうに、にぃっと笑う。


「おかしなことはない。脱皮だ!」

 こともなげに、ファルコンが裕太に向かって思念を送る。

「脱皮?」

「脱皮って…セミとか、蝶とか、殻から出て来るヤツだろ?」

裕太に向かって、ジュンペイが説明するけれど。

「人間でも、そんなことがあるのか?」

「そんなわけ、ないだろ」

 笑い飛ばそうとするけれど…

だが、この状況だ。

言われてみれば、そうかもしれない。

半信半疑ではあるけれど、ペラッペラの人の皮が、下に落ちている辺り…

(ずいぶんと、シュールな光景ではあるけれど)

脱皮という言葉が、ふさわしいのかもしれない。

(でも、そうすると…あのオバサンの身体の下は?)

どうなっているんだ?

まさか、モンスターに変身したり、しないだろうな?

裕太は警戒して、ジュンペイの背中に張り付くようにして、おそるおそる

オバサンを見た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る