サキアの休日…18

「そんなことはないわ。

 感謝しているのよ。

 マリさんが、無理強いしなかった、ということを」

 引き取られた当初は、おばさんと呼んだり、マリさんと名前で

呼んだりしていた、

今まで、両親がマリさんと呼んでいたからだ。

 まもなくして、通うようになった学校でも、

「あの人、お母さんじゃないの?」

と聞かれたこともあったが、

「違うの。

 マリさんは、お父さんとお母さんのお友達なんだもの」

そうキッパリと言い切り、決してお母さんとは呼ばなかった。

マリさんも、それでいい、と言っていたし、幼心にわかっていたのだ。

自分の両親は…この人ではない…と。


「あなたたち…その時に、知り合ったの?」

 マリさんは、サキアとミナトを見比べる。

「うん、まぁ…そうなるのかなぁ」

サキアは、ミナトをチラリと見る。

だが、ミナトはサキアをチラリと見ると

「いや、ボクはもっと前から、知っていましたよ」

上目遣いで、見つめる。

やっぱり…覚えていないのかぁ~

ミナトは笑う。

「サキアさんは、ボクの憧れの人だったからなぁ」

明るくそう言うと

「え~っ、そうなの?」

大げさに、サキアは声を上げる。

「言ってくれれば、いいのに」

「覚えていなかったくせに!」

からかうように、ミナトが言うと…

「そうかぁ~やっぱり、知らなかったのかぁ」

本気なのかどうか、残念そうにミナトはつぶやく。

「あらあら」

 若い二人の男女を見比べて、マリさんは笑う。

「いいわねぇ~若いって!」

羨ましそうに、微笑んだ。

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