第154話 それって、魔法?どんなトリック?

「お~っ」

「どうやったんだ?」

 いきなり現れた竜に、ミナトたちはどよめいた。

「どうするも何も~」

そう言いながらも、ジュンペイは明らかに照れた様子だ。

ごまかすように、ジュンペイは

「裕太、おまえも、何か持っていたよな?」

いきなり話をこちらにふられ、

「あっ」

手の中にある、笛の存在を思い出した。

 口にくわえようとした、その瞬間

「あら?あれは、なに?」

壁沿いに落ちている、卵の殻の側に、何かが落ちているのが

目に入った。

「あら?」

たまたま近くにいた、ミアがしゃがみ込む。

「これは…リュック?」

「へっ?」

彼女が高く掲げて見せるので、

「あっ!」

裕太が叫ぶ。

「なんで、それがここに?」

思わず声を上げた。

「えっ、ここに落ちてた?」

「いいや、たぶん…なかったはずだ」

突然現れたリュックに、一同は顔を見合わせる。


 なんで?

 どうやって、出たの?

 誰か…置いたんじゃないの?

まるで、暗闇の中に、突然瞬間移動してきたようだ…

(それって、魔法?)

誰のしわざ?

裕太はキツネにつつまれた思いがした。

「どうしたの?」

ミアが裕太の顔を、のぞき込む。

「それ…ボクのリュックだ…」

間違いない。

あの色と、ほつれている場所も。

ぶら下げている、颯太からもらったキーホルダーも。

つぶやく裕太に、一同はさして驚く様子もなく、

「ふぅーん、そうかぁ」と、のぞき込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る