第199話 息つく間もなく…
ツルを上り始めて、しばらくすると…
気のせいなのか、何だか、空気が薄くなってきたような
気がする。
それとも休みなく、せっせと高い所をよじ登っている
せいなのか?
初めは、そう思っていたけれど…
次第に、息苦しさを覚える。
(もしかして…高山病なのか?)
それとも、気圧の関係のせいなのか?
でも…こんな所で?
裕太はいぶかしんでいるけれども。
そもそもここは、かなり高い所にあるはずだ。
一体、どうしたらいいんだ…と、裕太は頭を悩ませる。
ツル以外で、目につくもの、といえば…
下にそびえている、立派な城のような建物と、上の方で
チラリと光り輝く、謎の建物らしきものくらいだ。
(うーん、やっぱり上るのかなぁ?)
見上げるだけで、裕太はややゲンナリとする。
「ねぇ、息苦しいんだけど…
これって、一時的なものなのかなぁ?」
それでも裕太は、とりあえず手近なツタにつかまって、身を
預ける。
「息苦しいの?」
肩を上下させて、ハァハァと息をする裕太を見て…
ジュンペイは頭をかしげる。
「ねぇ、ジュンペイは、何ともないの?
ここ…空気が薄くない?」
やはり高山病みたいなものか?
高い所にいるせいなのか?
裕太はジュンペイが、何で平気なのか、気になる。
(さすがに、空気ボンベとか、空気のポンプとか、酸素とか、
そんなのは、ないよなぁ)
あまりにひどかったら、何か役に立ちそうなものを探そう…
と裕太は考える。
一瞬、微妙に生ぬるい風が、裕太の身体を吹き抜ける。
やっぱり、ここは、何かあるのか?
はぁはぁ…と肩で息をして、裕太は上を見上げる。
だが、ジュンペイは全くいつもと変わらぬ平然とした顔で、
裕太に向かって手を振った。
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