第55話 これからどうなる?ピンチだ、裕太!
「君は、ここで待ってて」
先ほど裕太を連れて来た、若い方の男が、裕太の背中を押すと…
まるで大型動物…オランウータンやゴリラなどを入れるくらいの、
大きな檻に、有無を言わさず押し込んだ。
へっ?
裕太は思わず、顔を引きつらせる。
「オジサン、なに?
間違っているんじゃないの?」
なるべく動揺を見せないように、わざとお茶らけた声を出す。
「えっ、なに?
もしかして、ゲームでもするの?
それって、鬼ごっこか何か?」
わざとらしいくらいの、はしゃいだ声を出す。
そうでもしないと…不安で胸が、押しつぶされそうな気がした
からだ。
「あぁ~まぁ、ゲームみたいなものかなぁ」
天井から、声がする。
気が付くと、四方が防音仕様の壁に囲まれていて、いつの間にか
裕太は1人にされていた。
(えっ、まさか、閉じ込められた?)
まるで、モルモットのようだ。
猿とか、チンパンジーとか、マウスのように?
さすがの裕太も、それに気が付くと、瞬時で青ざめた。
「ようこそ、ドクターバードの研究室へ!」
先ほどまで、裕太に話しかけていた声がする。
白い部屋の天井には、よく見ると、カメラが取り付けられていて、
先ほどから裕太の様子を、監視しているようだった。
(どうしよう?
これはもう…逃げられないの?)
裕太は恐怖のあまり、叫び出しそうになっていた。
「なぁに、心配はいらない。
私がキミを…カッコいい姿に、してあげよう」
何がいいかい?
鳥?
馬?
怪獣?
気味の悪い声で、ドクターは笑う。
初めはその声も、笑い声とは気づかず、
まるでヒキガエルが、ヒーヒーと言っているようだ、
と思っていたのだ。
だがそれは、この狂信的な科学者が、歓喜の雄たけびをあげているのだ…
と、裕太はその時、気が付いた。
「狂ってる…」
思わず裕太がつぶやく。
「あぁ、狂っているさ!
この世界の人たちが…
それに、お前たち、このトオにやって来るヤツ、みんなが…
狂っているんだ!」
ヒャッヒャッヒャッ
また薄気味の悪い笑い声が、聞こえる。
裕太は悔しさに、思わず檻の柵を、ガンと強く蹴った。
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