第415話 待たせたな!

(ファルコンが不死身って?死なないってこと?)

 裕太はまだ、この状況に、頭がついてこない。

ただボンヤリと考えている。

熱風と疲れと、あまりの展開の速さで…

頭が麻痺してきているのだ。


「ごめんな、遅くなって!

 シェーラを元の場所に送り届けるのに、ちょっと手間取って

 しまった」

 ショーンの言うことには、おそらくウソはないと思う。

でも…なんでそこまでするのか、裕太にはわからない。

「また、本来の姿に戻したから、もうキミたちには、悪さを

 してこないと思うよ」

(ということは、犬に戻した、ということ?)

安心しろ、とショーンは裕太たちを抱えたまま、静かに話し

かけた。

「どこへ、行くの?」

 ジュンペイは弾む声で、ショーンに問いかける。

「おっ」

楽しそうな顔をして笑うと、

「たぶん…キミたちが帰るための、秘密の通路だ」

ハッキリとした口調で、ショーンはそう言う。

「えっ、わかったの?」

「それって、どうやって?」

思わず裕太とジュンペイが、ショーンの顏を、穴があきそうな

くらいに、見上げる。

「いや、まぁ、まだ、ハッキリとこれ、とわかったわけでは

 ないんだけど」

二人に押されて、少し困った顔になる。

「長いこと、放ったらかしにして、悪かったなぁ」と微笑む。

「さぁ、行こうか」

しっかりつかまれよ、と言うと、再びバサッと翼を羽ばたかせて、

あっと言う間に、広い空間の所へやって来た。

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