第140話 竜を追いかけろ!

 ブワーッと、荒れ狂う竜巻のように…

黒い固まりが、宙を舞い、風を巻き起こし、まっすぐに

突き抜けて行く。

「ほら、見ていて!」

そう言うと、キヨラさんがその黒い固まりを指差す。

トオの最上階に、ポッカリとあいた黒い窓らしき所に、

凄まじいスピードで飛び込んで行く。

「いつも、あそこで消えるの。

 つまりはあそこが、扉なんだわ」

言い聞かせるようにして、キヨラさんは裕太の瞳を見つめる。

「あそこ?」

あんな高い所…

どうやって行けばいいのだろう?

裕太は頭をかしげる。

「じゃあ…トオへの行く道は?」

切実な瞳を、キヨラさんに向ける。

「それは…」

彼女はまっすぐに、竜の消えた方角を見つめていた。


「それに関しては、ボクたちの出番だな!」

すぃっとミナトが、裕太たちの前に、身体をすべり込ませる。

「えっ、ミナトさんが?」

「大丈夫ぅ?」

本当に知っているのか、とジュンペイがにやつく。

「ボクたちだって…君たちの知らないことを、知っているん

 だぜ」

まかせてくれ、とニッと笑う。

「へぇ~そうなの?」

知らなかったなぁ~

ジュンペイが笑う。

「そこで止めておけ」

裕太がたしなめる。

「大丈夫だって!

 ボクよりも…ミアの方が詳しいから」

ジュンペイを真似て、へへへとミナトが笑う。

「なぁ~んだ」

びっくりして、ソンしたなぁ~

何だかジュンペイが、つまらなさそうに言うので、

「お前は、少し黙れ!」

何とかおとなしくさせようと、裕太がジュンペイをおさえつける。

「あら、仲がいいのねぇ」

じゃれ合っている、と思ったのか、キヨラさんはクスクスと笑った。

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