第122話 準備はOK!いざ、行かん!

 しばらくして、先ほどの女性がすっと音を立てずに、

現れた。

「準備は、よろしいですか?」

ミナトに向かって、話しかける。

「はい。スズカさん、よろしく」

ミナトがうなづくと、

「それでは、こちらへ」

スズカさんと呼ばれた女性も、いつの間にか白装束に、

身を包んでいた。

すっすっと緩やかに、歩き始める。


 いよいよ、その噂の主との対面だ。

(どんな人だろ?

 おばあさんなのか?)

裕太はひそかに、考える。

さすがに、ミナトやスズカさんのように、若い人ではない

だろうなぁ~

緊張の面持ちで、ミナトの後ろをついて行く。

 白装束の集団は、岩で囲まれている泉の向こうへと、

歩いている。

(一体、どこへ行くのだろう?)

それにしても、地下にこんな場所があるなんて…

裕太は驚いていた。

 

 岩だらけの道も、次第にがっちりとした、石組みの場所へと

入って行く。

まるでお堀のような、立派に組まれた場所だ…

石灯籠のようなものが、ポツンポツンと等間隔に置かれ、

そこには灯が灯っている。

ボンヤリとした光の中に…

神社のような建物が、幻のように立っている。

「こちらへ」

さらに進むと、そこには小さなお社のようなものが、見えてきた…

「もう1度、言っておきますが、あのお方は、私たちのような

 世俗な者の相手をするような方では、ないのです…

 そのことを忘れないように」

スズカさんは、静かにそう告げると、裕太とジュンペイに向き直り

「いいですね

 無礼なふるまいは、やめて下さいね!」と釘を刺した。


「お~、こわっ!」

 小さな声で、ジュンペイが大げさに肩を震わせると

「こらっ!」

裕太があわてて、ジュンペイを突っつく。

スズカさんの視線を感じたからだ。

同じ女の人でも…

ミナトの仲間のミアさんとは、まったく違うなぁ~

裕太は、きれいで優しい彼女のことを、思い返していた。

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