第196話 天空の豆の木

「おーい!ちょっと、待ってよぉ~

 自分たちだけ、ずるいゾォ~」

 こんなことなら、背中に乗せてもらえばよかった!

すぐに裕太は、後悔する。

木登りは、そこそこ得意だ。

でも…下を見ると、とんでもなく高い!

思わず、頭がクラクラしてきそうだ…

「さぁ、ボクたちも行こうぜ!」

ジュンペイは、ショーンたちのことなど、まったく気にする

様子もなく、もうすでに大きな幹にしがみついていた。

 両手を広げても、なお余るくらい太い幹だ。

「ずいぶん、太いなぁ~

 もうちょっと細かったら、つかみやすいのに」

やりにくいなぁ~とブツブツ言いながらも、ひょいっとつかまった。


 幾重にもからまるツルにつかまり、足をかける場所を探っているようだ。

「裕太、おまえも早く来いよ!」

そう言うと、するすると上って行った。

あっという間に上って行き、裕太との差が広がる。

「あっ、ちょっとぉ~おい!待てよぉ!」

裕太も幹に飛びつくと、思ったよりも固い茎に、ひどく驚く。

「えっ、これを上るのぉ?」

すっかり木質化して、思った以上に固く、ゴツゴツしている。

上を見上げると…先端の方まで見えない。

これは、かなり厳しそうだ…

(まめがつぶれるぞ、これは間違いなく!)

そう思うけれど…他に手立てはない。

勢いよく、ピョンと飛びついた。

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