101話 まるでバーゲンセールだ。


 101話 まるでバーゲンセールだ。


「待たんかい」


 呆れ口調で、ニャルの帰宅を阻止するセン。


「なんだい? トイレの電球は、まだ切れていないから大丈夫だよ?」


「……お前に家事代行を頼む気はねぇ。殺してやるから、インフィニットクルルー・ニャルカスタムを出しやがれ」


 これ以上、ニャルのファントムトークで場を荒らされないよう、

 直球で願い事を口にするセン。


「おやおや、『銀メダリスト級の半分の実力』を持つ彼に挑戦する気かい? その勇気は見事と言えるけど、でも――」


「ごちゃごちゃうるせぇ。さっさと出しやがれ」


「……くく。まあ、いいけどね」


 そう言うと、

 小粋にパチンと指をならした。


 すると、ジオメトリが出現して、

 センの目の前に、

 インフィニットなクルルーが出現する。


「よう、インフィニット・クルルー・ニャルカスタム。てめぇもひさしぶりだな。元気してたか?」


「プリティーグッド」


「簡潔で美しい返事、感謝だ。エクセレント」


 そう言いながら、

 センは、全身に、オーラと魔力を充満させていく。

 ニャルに視線を向けて、


「今度こそ、このタコ頭を殺すから……そのあとは、ちゃんと、クトゥルフ・オメガバスティオンの居場所を教えろよ」


「安心していい。約束は守るよ」


 その返事を聞くと、

 センは、クルルーに視線を向けて、


「俺の急成長に、瞠目するがいい。そして、絶望を数えろ。見るがいい、これが最強の俺だ」


 どんどん膨らんでいく存在感。

 センの全てが、豪華に輝いていく。




「――究極超神化7っ!」




 たどり着いた神の最果て。

 究極の変身を果たしたセンは、


「トウシがいなくなったことで、簡易版しか使えなくなったが、それでも、凶悪なパワーアップは果たせる。俺の底力に震えて眠れ」


 そう言いながら、

 さらに、オーラを練り上げていく。


 莫大な数値に包まれているセンを横目に、

 クルルーも、



「……究極超神化7……」



 サクっと、究極の変身をかましてみせる。

 その、あまりにもアッサリとした変身を目の当たりにしたセンは、

 普通にしんどそうな顔で、


「……えぇ……なに? もしかして、究極超神化7って、昨今のトレンドなの? どっかのM字ハゲよろしく『まるでバーゲンセールだ』って言いたくなるレベルで、みんな、ポンポン変身してくるんだけど、これ、マジでどういうこと……」


「最近の君は、『世界最高格』の存在とばかり交流しているから、稀によく見てしまっている、というだけで、究極超神化7が昨今のブームってわけではないよ。クルルーに至っては、ボクがカスタムしたから使えているだけで、クルルーの実力ってわけじゃないし」


「……カスタムした相手に究極超神化7を使わせることもできるって……あんた、どんだけの神様なんだよ……」


「ヨグのオッサンや、シュブのババアすら足元にも及ばない、最強のアウターゴッドさ。ボクがその気になれば、就寝前のストレッチ感覚で世界の全てを終わらせることも可能」


「……ヨグが足元にも及ばないって……えぐいな……」


「あ、信じていないな。言っておくけど、仮に、ヨグのオッサンを1とした場合、ボクの全力は86000ぐらいあるんだからね」


「……そうですか……あざーす、おつかれでーす」

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