27話 あまりにもふざけすぎた結論。


 27話 あまりにもふざけすぎた結論。


 スーパーセンエースは、

 センの目を、ジっとみつめ、




「……スーパーセンエースなんて、存在しない……」




 そう言いながら、


「存在してはいけない」


 戦闘速度を引き上げていく。



「――誰もセンエースを超えることはできない――」



 どんどん加速していく武の応酬。


 その中で、センは、


「スーパーセンエース。お前がパチモンだ……というか……お前は、センエースですらない。お前は強いし、その積み重ねは、間違いなく本物だが……センエースではない」


 そんなセンの指摘に対し、

 スーパーセンエースは、ニヒルに微笑んで、


「気づくのが遅いね。12点かな」


 などと、吐き捨てる。

 その辛口評価に対し、

 センが、


「何点満点中の?」


 と、問いかけると、

 スーパーセンエースは、

 シレっとした顔で、


「10点満点中の12点」


「どういう状態?! 突き抜けているんですけど?!」


「センエースならもっと早く気づくべきだという期待(100点基準)と、センエースにしては随分とはやく気づいたという現実(10点基準)がせめぎ合った結果がコレ」


「期待されすぎているのか、それとも、ナメられているのか、判断に困るご発言だな」


「君が、僕の期待に応えて、初見の段階で『ん、フレーバーのインパクトが荒々しく、フルーティさがわずかに弱いし、渋みが薄くて味気ない。違うな』と気づいていた場合、文句なく100点が贈呈されていた」


「……俺はセンエースソムリエじゃねぇから、そこまで質の高いテイスティングはできねぇよ。つぅか、したくねぇ」


「やりたくないことも、率先してやらなければいけない。それが命の業ってやつだよ、センエース」


 そこで、

 スーパーセンエースは、

 右手を高く掲げて、

 パチンと指を鳴らした。


 すると、

 パリィンッッ!

 と何かが割れる音が響いて、

 世界に大きな亀裂が入った。


 『事故った車の窓ガラス』みたいになったセンの視界。

 パラパラと、破片が熔けていって、

 気づいた時には、




 ――夜の時空ヶ丘学園に戻っていた。




「……」


「何が何だかという顔をしているね、センエース」


 スーパーセンエースは、いたずらな笑みを浮かべると、

 さらに、指をパチンと鳴らして、自分の姿を変化させる。


 『17歳前後の目つきが悪い中肉中背の神様』は、

 『浅黒い肌をした性根の腐っていそうな神様』に変貌した。


「…………ニャル……」


 元の姿に戻ったニャルラトホテプは、

 ニタニタと笑いながら、


「どうだった? 僕が見せた夢は。なかなか面白かっただろ?」


「夢……」


「そう。夢。うたかたのドリーム。睡眠時に見る幻覚。君の脳が、これは現実であると、錯覚しただけの虚像。つまりは夢オチ! 創作物界のタブー! 鬼畜の諸行!」


「……」


 センは、ニャルの言葉を咀嚼して、

 ゴクンと飲み込んでから、


「……夢、ねぇ……とても夢だとは思えないクオリティだったが……仮に夢だったとして……なんで……あんな夢を見せた?」


 そう問いかけると、

 ニャルは、シレっと、


「ん? ヒマだったから」


「……」


「僕の行動理由は、基本的に、全部それだよ」

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