93話 極刑を言い渡す!!


 93話 極刑を言い渡す!!


 マイノグーラの魔力壁に閉じ込められ、

 センエースに命を救われた中学生たちも、

 『あのへんな高校生が、妙な女に勝って、気付けば、助かっていた』

 程度の認知が関の山。


 誰もかれもが、結局、なんだか分からないまま、

 フワフワしていたところに、

 今朝のニュースが世界中で爆発的に広がったことで、

 ようやく、

 『センエースはとにかくヤバい』

 という、直接的な理解に届いた。


 学校の周囲には、マスコミ関係者が群れを成しており、

 空には、ひしめくように、複数台の報道ヘリが飛び交っている。


 センエースをカメラに収めようと、

 一人の無謀なパパラッチが学校の内部に侵入してきて、

 『特殊警備員(300人委員会所属)』に拘束されて、

 問答無用でボコボコにされたりもしていた。


 ボコボコにされてグッタリしているパパラッチに、

 制服姿のゾーヤが近づいて、彼の頭を踏みつけながら、


<i575654|28835>


「陛下の威光を世に知らしめるため、情報の拡散を命じたのは確かだが、しかし、誰も、プライベートに踏み込んで盗撮しろとは言っていない。境界線が理解できないカスは醜い」


 心底イラついた顔で、

 ゲシゲシと踏みつけながら、


「貴様は死刑だ。電気椅子で朽ち果てろ」


「お、おれは……センエースの悪口は言っていない……ちょ、ちょっと、近くで、写真を撮ろうとしただけで……」


「貴様がどう思うかなど知るか。勝手な自己基準で世界を測るな。たとえ、ほんのわずかであっても、陛下を不快にさせたカスに生きている価値はない」


 ゴミを見る目でそう言い捨てたゾーヤに、

 センは、しんどそうな顔で、頭をボリボリとかきながら、


「……その『すぐに死刑をまき散らしていくスタイル』は『全力で改めろ』って、俺、何度もいったよね? お前は、『がきデカ』か? ギャグならまだしも、お前は、ガチで執行しようとするから非常にタチが悪い」


 基本的に独裁やディストピアが大嫌いなセンは、

 『センエースを不快にさせたヤツは死刑』という、

 セン視点では、あまりにもおぞましいルールに対し、

 断固反対の姿勢をとっており、

 これまでに死刑判決が出た者は、

 センの一言で、全員、無期懲役に減刑されている。


 すでに、センは、300人委員会に対し、


 『ここまできたら、俺の個人情報の無断拡散に関しては、もう、どうしようもないから諦めるが、しかし、我慢するのはここまでだ。これ以上、俺を不快にはさせるな。これ以上、俺を怒らせたら、アウターゴッドが暴れる前に、俺がこの星を破壊する気がする』


 と、勅命をくだしている。

 が、どうやら『センエースに陶酔しているジャンキー』は、

 『頭の狂い方が常軌を逸してしまう』ようで、

 センがいくら言っても、

 何かあれば、すぐに、

 ありえない過剰反応の暴風で世界を包み込んでしまう。


「陛下。あなた様の病的な慈愛と高潔さは重々承知しておりますが、しかし、このようなカス相手に、慈悲をみせる必要はないかと存じます。世界のために、地獄の底で、その魂魄の全てを尽くしてくださったお方を、わずかでも不快にさせた者など、許す必要はありません」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る