34話 止まらない異次元砲。


 34話 止まらない異次元砲。


「ざけんなよ、クソがぁああああああ!」


 すべての魔力とオーラを結集させて、

 センは、


「終わってたまるか、クソぼけぇええええええええ!!」


 ヨグシャドーの異次元砲を、

 まるで、『ぶっといゴム紐を両手で引きちぎる』みたいに、


「うらぁああああああああああ!」


 バジィィィッッ!!

 と、豪快な音をたててかきけしてみせた。


 あまりにも異常が過ぎるその光景に、

 ヨグシャドーは、


「見事だ、センエース。もちろん、全力の異次元砲ではなかったが、しかし、貴様の総量では、決して受け止めきれない異次元砲だったことは間違いない。それを消し去って見せた貴様の力量は感嘆に値する」


 心から賞賛しているヨグシャドーの視線の先で、

 センは、ボロボロの姿で、その場に膝をつき、


「はぁ……はぁ……」


 息を切らし、朦朧としている。


 そんな彼に背後から、

 トコが、真っ青な顔で、


「だ、だい……じょうぶ……?」


 と、声をかけてきた。

 重度の『心配』がにじみ出ているその声音に、

 センは、


(大丈夫なワケねぇだろ、バカか、このクソ節穴バカ女がぁ……)


 と、心の中でブチブチ言いながら、

 しかし、実際の口では、


「……当たり前だろ……ナメんなよ」


 全力でカッコをつけるセン。

 そんなセンに、

 ヨグシャドーは、

 たんたんとした口調で、


「もちろん、この程度は余裕だろう。そうでなければ話にならない。さて、それでは、次だ。はりきって行こう」


 そう言いながら、右手に魔力とオーラをためはじめる。

 まったく容赦がない二発目の準備。


 その様子を見たセンは、

 思わず、口をアングリと開けて、

 呆けた目で、ヨグシャドーの全体を見つめるばかり。


 そんなセンに、

 ヨグシャドーは、


「言っておくぞ、センエース。もし、貴様が力尽きれば、後ろにいる女どもは、当たり前のように、全員死ぬ。もちろん、それで終わりではなく、その後、世界の全てを終わらせる」


「……」


「貴様の命だけが、世界の頼りだ。貴様の全てが、最後の砦。この極限状態で、さあ……貴様は、どこまで耐えられる?」


「……」




「――異次元砲――」




 まったく情け容赦のカケラもない二発目が放たれた。


「うぎぃいい!」


 ふざけたことに、


「ぅぉおおいっっ……さ、さっきより……重いぃぞぉお……」


「二発目は、一発目を超えてくる。当たり前の話。なんだってそう。そして、三発目は、二発目を超える」


「……ぎぃいいい……ぃいいい」


「五発目、十発目、百発目……千発目……と、これから続けていくワケだが、耐えられそうかな?」


「……ぃぃい、うぎぃいいいいいい……」


「二発目の段階で、もう無理そうだな。仮に、ここを耐えられたとしても、3発目は無理だろう。もう、すでに、貴様はカラカラだ。すでに、ほぼ全てを出しつくしている」


「ぎぃいいいいいいいいいいいいいいっっ」


「ハッキリ言おう。ここまで耐えられているのが奇跡だ」


 一般人の視点で、現状のセンをかたるとすれば、

 『一万キロ全力ダッシュ』の直後に、

 『もう一本』のおかわりをいただいている状態。


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