33話 全知全能の向こう側にある答え。
33話 全知全能の向こう側にある答え。
「ぁ、アウターゴッドと正面から殴りあっとる……あ、あいつ、何者やねん……めちゃめちゃイカれとる……」
「何がなんだかわからないけれど……もしかして、押してる? これ、もしかしたら……勝てたり……する?」
『期待のまなざし』は、『応えられる』のであれば、『高揚の材料』たりえるが、しかし、応えられる気がしない時に向けられる『期待』は、『魂を押しつぶす重荷』でしかない。
(遊ばれているだけで、一ミリも押してねぇよ、節穴どもがぁ……)
しんどそうな顔で、内心、バリバリの愚痴をこぼすセン。
あらゆるすべてにイライラする。
自分の運命。
背負っている重荷。
この世の理不尽・不条理。
そんなセンを横目に、
ヨグシャドーは、
「ウォーミングアップはこの辺にして……そろそろ、おたがい、ギアをひとつ上げようか」
などと、ナメたことを言われ、
センは、ギリっと奥歯をかみしめ、
(なにを、チョケ散らかしたことをほざいてんだ、この腐れ虹色ボーイは……こっちは、とっくにギアマックスの向こう側なんだよ……)
『ヨグシャドーにあらがう』と決めた瞬間から、
常にトップギアのアクセル全開を決め込んでいたセン。
もはや、余力はかけらもなく、
全速前進のやりすぎでオーバーヒート目前。
「センエース。貴様の可能性は美しい。たった数分しか触れていないが、しかし、私も、貴様に『大いなる未来の可能性』を感じはじめた。――誰にも出来なかったこと。全知全能であるはずの私にとっても未知数な命の答え。貴様には、そんな『大きすぎる未来』を背負えるだけの器量がある」
ぶつぶつと、そうつぶやくと、
ヨグシャドーは、
「しかし、まだツボミ。ツボミのままでは、何も成せない。さあ、私に見せてくれ。貴様の可能性を。輝く明日を」
そう言いながら、
ヨグシャドーは、
右手にオーラを溜めて、
センの背後にいる、
トコたちに向けて、
「――異次元砲――」
凶悪な照射を放った。
彼女たちの魔力で絶対に耐えられない一撃。
避けることも当然不可能なゲロビ。
ゆえに、
「どわぁああ!! マジか、てめぇえ!」
センは、思考を介さない瞬歩で、
彼女たちの目の前に移動すると、
「くわぁああっ!」
自身の両手で、ヨグシャドーの異次元砲を受け止める。
「ぎぃいい……重いぃいい……死ぬ死ぬ死ぬ……っ」
奥歯をかみしめ、
必死になって耐えるセン。
踏ん張りすぎて、頭の毛細血管がブチブチに引きちぎれ、
全身の肌肉がひび割れて、意識も朦朧としはじめた。
(……や、やばい……押し切られる……っ)
頭が吹っ飛びそうなほどの圧力。
信じられないほど高濃度の異次元砲は、
センの全てを圧殺しようと、
グイグイ、グイグイ、グイグイと、押し込んでくる。
「うぅうう……うぎぃいい……うがぁあああああああああっっ! ざけんなよ、クソがぁああああああ!」
すべての魔力とオーラを結集させて、
さらには、その向こう側をたぐりよせることで、
センは、
「終わってたまるか、クソぼけぇええええええええ!!」
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