41話 そんなやついるかぁ!

 41話 そんなやついるかぁ!


『それで? あなたはどちら様なのかにゃ?』


「俺の名前は『昼神(ひるがみ)日(れふと)』。新世界の神になりたくない男だ」


『……ツミカさんをイラつかせるとは、なかなか大した男だにゃぁ』


「まれによく言われる」


『まあ、なんでもいいけど、とりあえず、今から言う喫茶店にきてほしいにゃ』


 などと身勝手な前を置いてから、

 『いつもの喫茶店』の住所を口にする茶柱に、

 センは、


「オッケー、行けたら行くわ」


 と、全力で『断っていくセン』に対し、

 茶柱は、


『もし、こなかったら、多発的な【フェスティバル】が起こるから、覚悟しておいてほしいにゃ』


「……」


『ちなみに、どういうフェスティバルかというと――』


「ガキが大量生息しているところに爆弾をしかける……か?」


『……』


「残念だが、お前の行動は全てお見通しだ。すべての爆弾はすでに解除して――」


 と、そこまで言ったところで、

 遠くから、



 ドガァァンッッ!!



 と、地響きするほどヤバい音が響き渡った。


 その数秒後に、颯爽と響き渡る、

 警察と消防のサイレン。

 ウーウーと、やかましく、こだましている。


「……」


『爆弾の存在を知られていたのは驚いたけど、解除はされていないみたいだにゃぁ』


「……ハッタリの通じなさがエグいな……いや、まあ、でも……よくよく考えてみれば、『発狂しているテロリスト』に駆け引きなんて無意味か……」


 タメ息を一つはさんでから、


「もう一個の方は、絶対に爆破させるなよ」


 そう言いながら、出かける準備を開始する。




 ★




 一時間後、

 センが、例の喫茶店を訪れると、


「まったー?」


 先に席についていた茶柱が、

 センの姿を見つけると同時に、

 そう声をかけてきた。


 センは心底鬱陶しそうな顔で、


「ああ、死ぬほど待ったよ」


 と、雑に返していく。

 彼女の奇抜さに対し、普通に辟易してきている証拠。


「むー、そこはちゃんと『待っていたのはお前だ』って返してほしかったにゃ」


 と、不満を口にしてから、


「それで? あなたは、どちら様なのかにゃ?」


「俺だよ、オレオレ」


「あ、もしかして、隣のクラスの真剣卍くん?」


「やっと気づいてくれたか」


「そんなやついるかぁ!」


「……あ、やっぱいないのね」


 と、ダルそうにそう言ってから、

 センは、


「どうも、はじめまして。一か月前の4月頭から、あなたのクラスメイトをしている閃壱番です」


「そんなやついるかぁ!」


「いるんだよ!」


「センエースだなんて、そんな『真剣卍くん』よりも酷いドキュンネームがこの世に存在するはずないにゃ!」


「異議あり! 俺の名前も相当なものだが、真剣卍くんよりはマシな気がする!」


 そう言いながら、センは、

 机の上に、学生証を叩き置く。


 茶柱は、提示された学生証を、矯(た)めつ眇(すが)めつ見て、


「ひらめくいちばん」


「センエースだっつってんだろ」


「そんなやついるかぁ!」


「天丼はもういい!」


 そこで、茶柱は、コーヒーをひとすすりして、


「……まさか、『ワンパ〇マンの正体』がクラスメイトだったとは……マジで驚きにゃ」


「俺も、クラスメイトに『ボマーが混じっていた』と認知した時は驚かされたよ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る