8話 クルルー・ニャルカスタム。


 8話 クルルー・ニャルカスタム。


「たぶん、口で言っても分からないだろうから、ためしに、『アウターゴッド級』の強さを持った神格を出してあげるよ。実際に戦ってみて、アウターゴッドの高みをその身で感じとるといい」


「……そこまでしてくれるとは、親切きわまりないな」


「僕は、人間を救済することに無上の喜びを覚える堕天使のような邪神だからね」


「……セリフの四方八方が、だいぶ錯綜(さくそう)しているが……今はスルーしておこう」


 センの『しんどそうな呟き』をガン無視して、

 ニャルは、ブツブツと何かをつぶやきながら、

 空中にジオメトリを描いていく。


 数秒で完成されたジオメトリは、

 黒く、鈍(にぶ)く、淡く、輝いて、

 その奥から、


「……ふぅ……」


 見たことがあるGOOが登場した。

 タコの頭をした屈強な化け物。


(こいつ……確か……クルルー……だったか?)


 かつて、図虚空を強化するため、

 セン自身が召喚したS級GOO。


 ただ、前回倒したクルルーとは、

 『存在感』があまりに違いすぎた。


 今のセンでは、『見ただけ』だと『本質』を掴めない。

 それほどまでに、『何もかも』に変化が見られた。


(……この感覚を、なんと表現するのが適切かわからないが……とにかく、エグい『深み』を感じる……)


 自然と、冷や汗が流れた。

 ツーっと頬を伝って、顎から落ちる。


 ――そこで、ニャルがニヤリと微笑み、


「こいつは、『クルルー・ニャルスカスタム』。君が前に殺したクルルーとはケタ違いの強さを持つバケモノさ。その強さは、アウターゴッドに匹敵する。つまり、君ごときでは、絶対に勝てない」


「……ふん、挑発してくれるじゃねぇか。血が沸騰するね」


 そう言いながら、センは、ストレッチを開始し、


「確かに、前に倒した時とは、明らかに格が違うっぽい……だが、俺も、あの時とはケタが違う」


 上半身と下半身を、丁寧にほぐしながら、


「無限に続く地獄の中で、俺は、ゴリゴリに研磨された。もはや、『最高位のGOO』ですら、俺の足元にも及ばない」


 体をならしおえると、

 センは、図虚空を召喚し、



「教えてやるよ。俺の領域。俺が……俺こそが、ガ〇ダムだ!」



 勢いよく飛び出したセン。

 自信満々の特攻。

 無数の地獄を経験したことで、

 センの強さは、大幅に向上した。


 『戦闘力そのもの』は、最初から、エグい領域にあったため、

 そこまで大きな変化は見られないが、


 『脆弱な肉体での戦い方(縛りプレイ力)』は、大きく向上し、

 必死にアイテムを回収し続けたことで、

 図虚空のステータスは大幅にパワーアップしている。


 今の自分ならば、アウターゴッドを相手にしても勝てるかもしれない。

 そう思っていた時期がセンにもありました。

 ……が、






「降参! こうさぁぁぁぁぁん!!」






 100%の勘違いだった。

 自惚れも甚(はなは)だしい。

 無様きわまりない。

 惨めの最果て。



「いや、強すぎるだろ! 『壊れたウムル』を『1』とした場合、こいつの強さ、余裕で『10000』ぐらいありそうだぞ! ふざけんな! インフレも大概にしろ! ド〇ゴンボールの後期でも、ここまでではなかったぞ!」


「ふふん! わかったかな? これが、アウターゴッドの領域だよ」

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