7話 最低最悪の鬼畜野郎。


 7話 最低最悪の鬼畜野郎。


「さっさとかかってこい、カスども! 俺を怒らせて、このガキを八つ裂きにされたいか! 言っておくが、俺は、世界中から、ガキを召喚できる! こいつを殺したら、また別のガキを召喚して殺す! それを見たくないというなら、俺を殺せぇえええ! まあ、てめぇらには、できねぇけどなぁあああ! はっはぁああああ!」


 あまりに急展開すぎて、ついてこられていないトコを見て、

 センは、


「こないなら、こっちから行くぞ、ぼけぇ!」


 そう叫びながら、

 赤ん坊を掴んでいない方の手を、彼女たちに向けて、


(――『EZZパニッシャー』――)


 無詠唱で封印系の魔法を放ち、

 トコ以外の面々の首から下を封印する。

 首だけになって、その場に転がる彼女たちを見て悲鳴をあげるトコ。


 そんなトコの目の前に瞬間移動すると、

 トコの首をソっと掴み、


「恐怖が足りないな、薬宮トコ。お前、もしかしてまだ、自分が死なないとでも思っているんじゃないかね?」


 つい、テンプレをぶっこみつつも、

 声に圧力を込めて、


「命がけで、俺に抗ってみろ。そうすりゃ、このガキは殺さないでいてやる。それとも、名前も知らないガキなど、どうなろうが知ったこっちゃないかぁ? あーん?」


 センは、トコの性格を知っている。

 このバカ女は、『優しさ』というメーターがバグっている変態。


 茶柱が相手だと効果は薄いだろうが、

 薬宮トコ相手には、


「……頼む……やめてくれ……何が気に入らんのか知らんけど……もう、いっそ、あたしを……殺してくれてええから……お願いやから……むちゃくちゃせんとって……」


 こうかはばつぐんだ。

 現状を理解しようとする努力を放棄して、

 とにかく、目の前のヤバいやつを鎮めようと必死に言葉を選んでいる。


 ここまでの流れで、既に、彼女は、

 『セン』という化け物が、

 『自分ごときでは、どうあがいても処理できない相手』である、

 ということを理解していた。


 だから、余計な疑問で相手を怒らせるのではなく、

 とにかく下手に出て、自分の命まで差し出して、

 どうにか、無茶だけはさせないようにと頑張った。


 その献身的な努力に対して、

 センは、ニィっと黒く笑ってから、


「いやだね」


 そう吐き捨ててから、

 彼女の目の前で、

 幻想の命を散らしてみせた。


 手の中でぐしゃりと握りつぶす。

 肉片がはじけて、

 赤い血がしたたる。


 その様を、目の当たりにしたトコは、


「あ、あああああっ!」


 沸点に達してブチ切れたトコは、

 腹の底から叫びながら、

 魔力とオーラを一瞬で全開にして、

 自分の首をしめているセンの腕に、

 毒ナイフ化させた携帯ドラゴン『ヒドラ』をぶっ刺した。


「神聖毒か……なかなかの質量だ。お前には、毒を扱う才能がある。非常にすぐれた才能。間違いなく天才。けど、それだけ。矮小で醜い、カスみたいな命」


 そう言いながら、

 センは、彼女の首から手を離し、

 デコピンの構えを、彼女の額にロックオンして、


「俺の前では、ただのゴミ」


 パンッっと、『衝撃』にリソースを裂いたデコピンを決めていく。

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